ファスティング(断食)後の回復食は休んでいた体を徐々に回復させるためにとても重要です。そんな中でもバナナは季節を問わず手軽に購入することができ、甘味も食べ応えもあるくだものとして人気です。今日は回復食でのバナナの取り入れ方についてご紹介します。
ファスティング回復食にバナナはOK?
インターネットでファスティング後の食事(回復食)にバナナが良くないという情報を見ることがありますが、カリフォルニアで細胞栄養学を学んでいる私としては、バナナはOKだと考えます。
バナナは栄養価が高く、吸収も早いため、脂質を摂らない食事や断食後などにエネルギーが必要な場合にもってこいの果物と言えます。
バナナ100gあたりの栄養は以下をご覧ください。
カロリー | 85 cal |
炭水化物 | 22.2 g |
脂質 | 0.2 g |
タンパク質 | 1.1 g |
カルシウム | 8 mg |
カリウム | 370 mg |
ビタミンB1 | 0.05 mg |
ビタミンB2 | 0.06 mg |
ナイアシン | 0.7 mg |
また、消化にかかる時間は約3時間程度となります。
参照:Composition and facts about foods by Ford Heritage
バナナは栄養バランスがよく、エネルギーチャージに適した食品です。回復食でもぜひ積極的に取り入れていきましょう。
ファスティング回復食にバナナがNGと言われる理由
ネット上でバナナが回復食に適していないという意見もありますが、それは一体なぜでしょうか?その理由は主に二つあると考えられます。
回復食にバナナがNGと言われる理由その①カリウム
その理由の一つがカリウムで体が冷えるためです。カリウムには利尿作用があり、摂り過ぎた塩分などを外に排出してくれる作用があります。そして尿を排出する際に熱も放出するため、体が冷えると言われているのです。
そのため、ファスティングで食事をしておらず、冷えやすい状態の体にバナナは良くないと考えられているのですね。
ただ、世界保険機関(WHO)では、カリウムの一日の目標摂取量を男女共に3,510mg/日と設定しています。もちろんファスティング中や回復食中に目標摂取量のカリウム(やその他栄養素)を全て摂るのは難しく、摂取量は減ってしまうことが考えられます。それを考慮した上でも、上の項目でお伝えした通り、確かにバナナのカリウム含有量は100gで約370g程度ですので、バナナでカリウムを摂りすぎてしまうことはなかなかないと考えられます。
また、カリウムはグリコーゲンや脂質からエネルギーとなる糖質を作るのを手助けしたり、ペプトンやプロテオースをタンパク質に作りかえる手助けをしたり。つまり、代謝の一部をサポートする重要な役割があります。
そのため、バナナはむしろカリウムを取るのに適した果物と言えますね。
良質な糖質でエネルギーチャージをサポートしてくれるバナナもいいですが、「もっとたくさんの良質な栄養素を一緒に摂りたい!」という方は下記記事で、回復食におすすめなアイテムや食品の選び方を詳しくご紹介しています。ファスティング中に老廃物が排出された体は乾いたスポンジのように『良い成分も悪い成分も』吸収しやすい状態にあります。そのため、回復食中の食材選びには最新の注意を払うべき。併せてご参照ください。
回復食にバナナがNGと言われる理由その②糖質
バナナは糖質のため、回復食での利用に注意が必要だと言われています。確かにバナナは糖質が多い果物の一つです。
ファスティング後は体の糖質が枯渇しており、一気に糖質を摂りすぎれば血管に負担がかかってしまうことも考えられます。これについては、よく回復食で取り入れられる『白米』とバナナのGIとGLを比較しながらお話していきましょう。
GIとはグリセミックインデックス、GLはグリセミックロードの略。GIは食品に含まれる糖質の“質”、つまりどれだけ血管に影響を与えるかを数値化したものであり、GLとはそれがその食品にどれほど含まれているか”量”を指しています。これらは数値が高ければ高いほど血管への影響が大きく、糖尿病などがある患者さんの食事管理などに用いられてます。
食品 | GI | GL |
バナナ 1本あたり | 52 | 12 |
白米 1杯あたり | 75 | 41 |
こうして見てみると、回復食でも取り入れられる白米の方が、バナナよりも、GI・GL共にかなり高いことがわかりますね。ちなみに回復食でよくメニューとして取り入れられているおかゆや玄米は以下の通りです。
おかゆ 1杯あたり | 88 | 30 |
玄米 1杯あたり | 66 | 34 |
回復食でよく食べられるおかゆは白米を鍋の中でやわらかく煮ていて吸収率が高まっているためGIが高いですが、水分が多いため、同じ1杯あたりでもGLが下がります。玄米は繊維が多く吸収が遅いため、GIが低いですが、と言うことは、消化に時間がかかるため、消化器への負担も増えます。
こうして数値でみてみると、バナナは回復食でよく取り入れられるお米系のメニューよりも血管への負担が少ないことがわかりますね。消化に時間がかかると言われていますが、3時間程度であれば次の食事までには消化されていますので、あまり心配せずに取り入れてもOKと言えるでしょう。
ファスティング回復食でバナナを食べる時の注意点
上述通り、バナナは回復食には適した食品と言えますが、いくつかの注意点もあります。
回復食にバナナを食べる時の注意点①冷え性
先ほど、バナナのカリウムが体を冷やす可能性があるとお話しましたが、一般的にはそこまで問題視しなくても良いでしょう。ただ、中には極度の冷え性の人や物理的に気温が低い時期などには、バナナを摂らない方が良い人もいます。
特にファスティング明けでしかも朝となると、体がおきておらず冷えやすくなります。そのため、普段から冷え性が気になる人は注意が必要な場合もあるのです。そんな場合は温かい飲み物や食べ物と組み合わせて食べるようにしましょう。
回復食にバナナを食べる時の注意点②糖質
バナナの糖質についても、白米などと比べるとあまり気にする必要がないと考えられますが、これについてはバナナだけでなく、その他の糖質についても理解しておく必要があります。
糖質が体に良くないと言われている大きな理由の一つが、血糖値が上昇することですね。糖質は血液に運ばれて細胞に届けられるため、糖質を食べたあとに一時的に血糖値が上がることは当たり前のことです。ただ、糖質が長く血管内に停滞してしまうと、さまざまな問題があらわれます。
ではどのようにして糖質が血管内に留まってしまうのでしょうか?その一つの理由が脂質にあると言われています。血中の脂質が多いと糖質がなかなか血管膜を通過して細胞に行き渡ることができず、結果として血糖値が高いままとなってしまうのです。(参考文献:The 80/10/10 Diet by Dr.Douglas N.Graham)
普段から肥満気味だったり、体脂肪率が高い人が回復食にバナナを取り入れたい場合は、先にサラダ等の野菜を食べて少しでも結構値の上昇を抑えられるように工夫することが大切です。
断食終わりのメニューとして話題になっているものといえば“すっきり大根”!でも、実は知らないと危険なデメリットもあり、バナナのように注意するべき点があります。下記記事ではすっきり大根を試した実際の体験談やメリットデメリットを詳しくお伝えしていますので、併せてご参照ください。
ファスティング回復食のバナナの取り入れ方
それでは、回復食にバナナを取り入れる方法をいくつかご紹介していきます。ご自身に合いそうな方法を取り入れてみてくださいね。
回復食のバナナの取り入れ方①運動の前
運動をすると血糖値が下がります。そのため、バナナを食べることで血糖値の上昇が気になるという方は、運動前に食べるのがおすすめです。特に朝運動する場合は、空腹でおこなうと血液濃度が高くなるため危険です。でも、しっかり食事をしてしまうと、体は思うように動きません。なぜなら食事を消化するためにエネルギーを利用しようとするからです。
また、意外に思われるかもしれませんが、バナナの75%は水分でできており、自然のフィルターを通った水分を補給することもできます。こうした理由から、バナナは運動前に摂取するのに適量であり、糖質の吸収率や量も運動前に適していると考えられます。
回復食のバナナの取り入れ方②おやつ
小腹が空いた際にもバナナを取り入れることができます。回復食中は普段食べている甘いおやつやスナック菓子はNG。でも、ファスティングで味覚が戻って来ている状態の回復期には、バナナの甘味でも充分に満足感を得ることができますよ。
回復食のバナナの取り入れ方③食事として取り入れる
アメリカではファスティング後の回復食にGIやGLが高いお米を取り入れることはほとんどありません。その代わり、しっかり栄養が摂れる量のスムージーを飲んだり、バナナと野菜ジュースなどを組み合わせることも多いです。
栄養価の高いバナナは食事の代わりとしても役目を果たしてくれますね。スムージーにする場合は、できるだけ不溶性の食物繊維が少ない果物や野菜を組み合わせるようにしてください。不溶性食物繊維は回復食後には刺激が強すぎて、腸内を傷つけてしまう可能性もあるのです。
もし、根野菜や葉物の野菜などの不溶性食物繊維が多い食品を取り入れたい場合は、ジューサーで繊維を絞ってしまうのも◎。ジューサーや絞り機がないという場合には、市販のジュースを購入しておくのが便利です。ただしその際には“無添加・無農薬”の製品を取り入れるようにして、できるだけ科学薬品を体に残さないように心掛けましょう。
回復食で無農薬・無添加の食品を選ぶのは、ファスティングの目的の一つでもあるオートファジーを活性化させるために、とても重要なポイントです。無農薬製品とオートファジーの関係については、こちらの記事もご参照ください。
まとめ
今回は回復食にバナナを取り入れるべきかについて、詳しくご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?スーパーやコンビニでも購入でき、調理も不要ですぐに食べられる栄養たっぷりのバナナをぜひ活用してみてくださいね。
参考文献:①The 80/10/10 Diet by Dr.Douglas N.Graham
②The AAA Diet Holistic nutrition by Paul Fanny Ph.D
③The Human body