今回はファスティング中にプロテインを飲むことについて、論文を用いて徹底解せるしていきます。筋肉が減少するのを避けるためにファスティング中にプロテインを摂取したいと考える人のためにも役立つ内容となっています。
ファスティングとプロテイン
ファスティング(断食)は、食事を一時的に制限することで体内のデトックスを促し、健康改善を目指す方法として注目されています。
一方、プロテインは筋肉の維持や成長に欠かせない栄養素であり、特に運動を行う人々にとって重要視されています。
プロテインとはそもそもは英語でタンパク質という意味ですが、実はタンパク質は消化に時間がかかることから、ファスティングには不向きとされています。
でも、筋トレなどを取り入れて普段から健康意識が高い人がファスティングを取り入れたい場合も多いよう。そこで懸念されるのが筋肉の減少です。
人間の体は主に体内にある糖質をエネルギー原料として利用しています。ただし、体内の糖質が尽きると、脂質やタンパク質がエネルギーとして使われ始めます。つまり、食事をしなえればいづれタンパク質もエネルギー源として利用されるため、タンパク質で合成される筋肉も減少する可能性があるということです。
ただし、筋肉が減少するほどタンパク質が消耗されるにはある条件があります。
下記より、順を追ってお伝えしていきます。
ファスティングにプロテインを取り入れるメリットとデメリット
それでは早速、メリットデメリットを見ていきましょう。
メリット
- 1. 満腹感の持続
プロテインは消化がゆっくりであるため、満腹感を持続させる効果があります。これにより、ファスティング中の空腹感を軽減し、継続しやすくなります。
- 2. 筋肉の維持
ファスティング中にプロテインを摂取することで、エネルギー生成のための筋肉の分解を防ぎ、筋肉量を維持することができます。特に運動を併用する場合、プロテインは筋肉の修復と成長に必要不可欠です。
デメリット
- 1. 消化器官への負担
プロテインは消化に時間がかかるため、ファスティング中に摂取すると消化器官に負担をかける可能性があります。特に完全断食を行っている場合は、プロテインの摂取により消化器官が休息できなくなる可能性があります。
- 2. カロリー摂取量の増加
プロテインはカロリーを含むため、ファスティング中に摂取するとカロリー摂取量が増加し、ファスティングの効果が減少する可能性があります。特に体重減少を目的とする場合は、この点に注意が必要です。
プロテインはファスティングの目的に反している?
そもそも、ファスティングの前提条件として、
- 何も食べないことで消化器系を休ませる
- 細胞を飢餓状態にしてオートファジーを活性化させたい
上記のメリットで、プロテイン(タンパク質)は消化がゆっくりのため、満腹感を持続させるとお伝えしましたが、これはつまり長時間消化されずに消化器官に存在するということ。
ファスティングは消化器系を空にして休ませることを目的にしているため、プロテインの特徴がファスティングの目的と反しているのです。
また、ファスティングの最大の目的とも言えるオートファジーは、古い細胞や変性した悪性の細胞などを自己分解するための体内の働きです。オートファジーが活性化するスイッチは、細胞が枯渇したとき。
つまり、ファスティング中に栄養分をしっかり取り入れると、オートファジーは働かないということなのです。
ファスティング中も筋肉は減少しない?
先ほどお伝えした通り、エネルギーは基本的に糖質から作られますが、体内の糖質が枯渇すると、脂質やタンパク質がエネルギー源として利用されます。
ただし、エネルギーとして優先的に使われる順番は次の通り。
- 糖質
- 脂質
- タンパク質
つまり、糖質が枯渇しても、内臓脂肪やお腹周りの脂肪などが先にエネルギー源として優先的に利用され、タンパク質は最後まで使われないということです。
私たち人間の体の多くはタンパク質が占めています。それほど重要なタンパク質は、最後までしっかり体の中に保管される仕組みとなっているのです。
ファスティングと筋肉減少に関する論文
ファスティングと筋肉減少に関する論文①筋肉が減ると言われる理由
JAMA Internal Medicineに発表された研究では、時間制限食(Time-Restricted Eating, TRE)に関するランダム化臨床試験が行われました。
研究概要 | この研究では、被験者が二つのグループに分けられました。時間制限食(TRE)グループは、毎日正午から午後8時までの8時間の間に食事をとり、その後16時間断食を行いました。一方、対照グループ(CMT)は、一日に三食を規則的にとるよう指示されました。 |
期間 | 12週間 |
被験者数 | 116名の過体重および肥満の男女 |
結果:この結果は、TREグループにおいて、失った体重の65%が筋肉量であったことが示されました。
この研究で筋肉量が減少した理由は以下が考えられます。
・12週間(3週間)という長期的に毎日16時間ファスティングをおこなっていたため。
・食事に対する指導がなかったため、栄養バランスが摂れていなかったため。
・今回の実験では、TREグループは対象グループよりも平均稼働数(運動時間)が少なかったため。
つまり、これらに気を付ければ、筋肉量を維持しつつ、ファスティングに挑戦することができる可能性が高いのです。
筋肉をできるだけキープ可能なファスティング方法
①ワンデイファスティング
一日だけのファスティングなら、筋肉の減少を気にせずに、消化器官もきちんと休息させることができます。ワンデイファスティングでは、ファスティングの日はお水やノンカフェインのお茶のみですごしますが、その前後日に準備食・回復食を追加します。消化に良い食事を摂って、ファスティングに向けて消化器官を整えるのに重要です。
下記では準備食と回復食について詳しくご紹介したページを掲載しています。
②ジュースクレンズ
ジュースクレンズはコールドプレスジュースという栄養とうま味を最大限の残しつつ絞った野菜や果物のジュースを取り入れたファスティングの一種です。コールドプレスジュースを2時間置きに取り入れることで空腹感を和らげつつ、消化吸収の早い糖質を取り入れてエネルギー源を体に供給します。
ジュースクレンズについては、ヘルスケアライターである著者が実際におこなった内容を下記で記載していますので、ぜひ併せてチェックしてみてください。
③16時間ファスティング
16時間ファスティングでは、一日の内16時間はファスティングをおこないますが、8時間はどんなものを食べてもOKというルールになっています。ただし、ここで揚げ物やジャンクフードを食べてしまうと、16時間ファスティングの効果が薄れてしまうので、できるだけ健康的な食事を摂るようにしましょう。また8時間の間には充分のプロテインを摂り入れて筋肉減少を防ぎましょう。
海外の論文などでは、16時間ファスティングは週の2日間だけおこなうのがベターと言われています。下記では「5:2」と呼ばれる16時間ファスティングの方法を詳しくお伝えしています。
ファスティングにプロテインを取り入れるための工夫
上記ではプロテインを入れないファスティング方法をご紹介しましたが、どうしてもファスティングでプロテインを摂りたい人は以下のような工夫をしてみてください。
1. タイミングを考える
完全な断食をする場合には、もちろんプロテインを飲むのもNG。ただ、ファスティングをおこなう前後に摂り入れることはOK。また、16時間ファスティングでは8時間の間に摂り入れるようにしましょう。
2. プロテインの品質に気を付ける
プロテインには国内外問わずさまざまな種類がありますが、その品質には充分気を付ける必要があります。ハーバード大学医学部の公式サイトでも紹介されている、Clean Labelという世界の調査団体がおこなったリサーチでは、トップセールス上位134つのプロテインパウダーの成分を分析しました。
すると、あまりに多くの製品からヒ素、カドミウム、鉛、水銀を含む重金属など、体の毒となる物質が検出されただけでなく、パッケージから製品自体からも毒素が見つかりました。
これらの成分は細胞のエラーを増やして発がん性が危険視されている成分です。体の毒素を排出することが目的のファスティングでは、余計に品質に注意したいですね。
3. プロテイン以外の栄養素に気を付ける
プロテインは消化に時間がかかる成分であるだけでなく、消化の際にはアンモニアという毒素が生成されます。これは最終的には尿素として排出されますが、消化から毒素、排出などの工程では大量の酵素を消耗します。ですが、酵素というのは基本的に体内で生成されるため、外から摂取した酵素が同じ働きをするわけではありません。そこで、プロテイン消化のために酵素をサポートするのが、ビタミンやミネラルです。ビタミンやミネラルは補酵素と呼べれ、酵素の働きを手助けするのです。
こうした理由からも、野菜や果物から得られるナチュラルな栄養素が注目されて、海外の筋トレマニアたちもプロテインだけでなくコールドプレスジュースを摂り入れることが多いです。ただし、プロテイン同様、コールドプレスジュースも農薬などの品質に気を付けて選ぶようにしましょう。
下記では無農薬・無添加・化学肥料不使用の医師監修コールドプレスジュースをご紹介しています。
まとめ
ファスティングにプロテインを取り入れることには、多くのメリットとデメリットがあります。筋肉の維持や代謝の維持、満腹感の持続といったメリットがある一方で、消化器官への負担やカロリー摂取量の増加といったデメリットも存在します。ファスティングを行う際は、自分の目的や体調に合わせてプロテインの摂取を検討し、バランスの取れたアプローチを心掛けることが重要です。